■重点的・効率的に社会資本を整備
国土交通大臣 金子 一義
昨年は、「100年に一度」という世界的な金融危機に直面し、欧米各国で金融機関の破綻が相次ぎ株価が急落するなど、世界的な景気後退の兆しが強まった一年でした。日本経済についても景気の下降局面が長期化そして深刻化するおそれが強まっています。こうした状況のもと、政府としては昨年8月に「安心実現のための緊急総合対策」を、また、10月には「生活対策」を取りまとめました。これらの対策に基づき昨年10月に成立した第一次補正予算等により、国民の安全安心の確保や地方の活性化等のため必要な社会資本整備の早急な実施、高速道路料金の大幅な引下げ、地域建設業への支援・不動産市場の活性化、貨物運送における中小・小規模企業対策、地域バスの利便性向上、離島・過疎等の地域における公共交通の維持等の施策を推進していますが、通常国会冒頭には第二次補正予算案を提出し、一層の施策の推進を図ることとしております。さらに、12月の与党税制改正大綱では、住宅ローン減税の過去最高水準までの引上げ、新たな投資減税型措置の創設、土地の譲渡益課税の新たな特例措置の創設など、住宅土地税制を中心とした内需拡大、景気回復のための思い切った拡充措置が盛り込まれました。また、同月には、住宅・不動産事業者向けの資金確保、住宅取得の支援及び優良な民間都市開発の促進を内容とする「住宅・不動産市場活性化のための緊急対策」を取りまとめました。
一方、中長期的に見ると、我が国は、本格的な人口減少・高齢化社会の到来、急速な経済のグローバル化、地球環境問題の深刻化、環境や美しさを重視する国民の価値観の変化など、歴史的な転換期を迎えており、このような時代の潮流の変化に的確に対応して、私たちの子どもや孫たちが自信と誇りを持てるような国づくりを進めていかねばなりません。特に、国土交通行政は、社会資本整備のほか、国土政策、住宅・都市政策、交通政策、観光政策、海洋政策等を総合的に推進するという幅広い任務を担っており、そのいずれもが国民生活や経済活動に密着しているものです。
このような国土交通行政の推進にあたっては、何よりも国民の皆様の信頼が欠かせません。しかし、誠に遺憾ですが、昨年は国土交通行政をめぐって国民の信頼をゆるがすような事例が多く指摘されました。これからは、国民の皆様の視点に立つという原点に立ち返り、国民の皆様の信頼を確保しつつ、たゆまざる改革に全力で取組み、時代の要請に応えられる国土交通行政を推進するため、以下に申し述べる課題に取り組んでまいります。
【自立した活力ある地域づくり】
昨年9月以降の金融危機や、世界的な景気後退の兆しがある中、特に地方の経済は非常に厳しい状況にあり、都市部との格差も拡大しています。地域に関連の深い行政を担っている国土交通省としても、地方を再生・活性化していかねばならない重い責任を担っております。
地方の再生のためには、都市機能・産業集積を強化することを通じて、多様な広域ブロックが自立的に発展するとともに、各ブロック内において様々な地域が交流・連携しながら発展していく姿を目指すことが必要です。昨年7月に閣議決定された「国土形成計画(全国計画)」を踏まえて、今後全国8つの広域ブロックにおいて、その有する資源を最大限活かせる「広域地方計画」を策定します。
地方の活性化に向けては、この広域地方計画の枠組みも活用しつつ、地域経済や人々の暮らしを支える基盤として、幹線道路ネットワークの整備、政府・与党申合せに基づく整備新幹線の整備、港湾整備など真に必要な社会資本への集中投資を進めます。また、暮らしの利便性、賑わいや活力のある地域経済社会の実現に向けて、地方の鉄道、バス、離島航路などの地域公共交通の活性化・再生、交通結節点の改善等、総合的かつ戦略的な交通施策の推進、中心市街地の活性化や都市再生、集約型都市構造への転換、観光振興などの地域の創意工夫あふれる取組への支援、適正価格での契約の推進や地域総合産業化支援等による建設業振興を推進してまいります。
【安全・安心で豊かな社会づくり】
我が国は、地震・津波や水害・土砂災害・高潮災害など、自然災害に対して脆弱な国土条件にあります。特に最近では、各地で集中豪雨や異常渇水が発生しており、地球温暖化の影響が懸念されるところです。これらに対応し、自然災害や事故などから国民の生命や財産を守ることは国土交通省の重要な使命であることから、安全・安心基盤の確立に向けた取り組みを推進してまいります。
自然災害に対しては、予防対策の重点化、災害復旧関連事業の強化、防災気象情報の高度化などにより、地球温暖化等に伴う災害リスク増大への適応策を推進するとともに、住宅・建築物の安全・安心対策の強化、情報提供体制の充実、公共交通インフラ等の耐震対策の促進により地震対策の強化を図ってまいります。また、昨年6月、7月に発生した岩手・宮城内陸地震、岩手県沿岸北部地震については、被災当日から、緊急災害対策派遣隊(テックフォース)を派遣し、被災地における一日も早い安全確保のための支援を行うとともに、海上保安庁においても153名の孤立者の救助を行い、関係者から広く評価をして頂きました。今後も災害を未然に防ぐ予防対策を基本としつつ、災害時の緊急対応体制の充実、被災地の復旧・復興の支援を積極的に推進してまいります。
更に、昨年頻発した集中豪雨等への対応については、着実な河川や下水道の整備の推進とともに雨水貯留施設の整備等流域における対策や啓発活動の推進などハード・ソフトを組み合わせた豪雨対策に全力を尽くします。
一方、我が国が今後本格的な高齢社会を迎えるにあたり、高齢者・障害者をはじめとする誰もが自立できるユニバーサル社会の実現は極めて重要な政策課題です。国民生活に最も密着した基盤である住宅について、ケア付き住宅の整備等による高齢者の居住の安定確保や子育て世帯等への配慮など、住宅セーフティネットを構築するとともに、公共交通機関、建築物等の一体的・総合的なバリアフリー化を着実に推進します。また、運輸安全マネジメント制度の一層の充実や保安監査の強化、昨年設置された運輸安全委員会による事故原因究明及び再発防止機能等により、日常生活に不可欠な公共交通の安全と信頼を確保します。
四面環海で、資源や食料の多くを海外に依存する我が国において、新たな海洋立国の実現を図るため、海洋基本計画に基づき、日本籍船・日本人船員の確保・育成による安定的な海上輸送の確保、マラッカ・シンガポール海峡の安全確保、ソマリア周辺海域での海賊事件に対する早急な実効的対策の実施や法整備の検討、領海及び排他的経済水域における海洋調査の推進、本土から離れた離島の利活用等の海洋政策について、政府一体となった取り組みを総合的かつ計画的に進めてまいります。さらに、海上保安庁の巡視船艇・航空機等の緊急整備や複数クルー制の拡充など、海上保安体制の充実強化を推進し海上の安全と治安を確保してまいります。
【国際競争力の強化に向けた基盤づくり】
本格的な人口減少・高齢化社会を迎えつつある我が国において、持続的な成長を維持していくためには、過度に外需に依存することなきよう努めつつ台頭するアジアをはじめとする諸外国の成長と活力を取り込むことが必要です。
来年には、現在整備中の羽田空港及び成田空港の滑走路が供用されることに伴い、2010年の供用開始当初に、羽田は昼間約3万回、深夜早朝約3万回(合計約6万回)、成田は約2万回の合計約8万回の国際定期便就航の実現を予定しています。国際競争力の強化に向けては、これら首都圏空港の国際航空機能の拡充、関西・中部国際空港の戦略的なフル活用や、アジアゲートウェイ構想に基づく航空自由化を進めるとともに、成田新高速鉄道の整備をはじめ、成田・羽田両空港間や都心とのアクセス改善等の都市鉄道ネットワークの充実などを推進してまいります。さらに、コスト・サービス水準で海外を凌ぐスーパー中枢港湾の実現、都市の経済活動の効率を高める都市圏の環状道路等の整備や高速道路料金の引下げなど既存高速道路ネットワークの有効活用・機能強化、アジアにおける人流・物流サービスの向上への支援など、ハード・ソフト両面から、迅速、円滑、低廉な人流・物流体系の実現を目指します。
住宅・不動産市場の活性化については、「住宅・不動産市場活性化のための緊急対策」に盛り込まれた施策を実施するほか、不動産市場データベースの整備や、国内外への情報発信、市場の信頼性向上や投資促進のための環境整備、既存住宅流通の促進などを図ってまいります。
さらに、人口減少局面においても高い生産性を確保するため、国民生活や経済社会活動に密着する国土交通分野においてICTを最大限に利活用し、イノベーションを次々と生み出していくための共通基盤の構築を推進してまいります。
【歴史、風土等に根ざした美しい国土づくりと観光交流の拡大】
我が国には、世界に誇る歴史的資産や豊かな自然環境が数多く残されており、こうした貴重な資源を活かしつつ、美しく魅力ある国土づくり・地域づくりを推進してまいります。
また、このような本来の魅力を最大限活用した観光政策は21世紀の国づくりの柱であり、国際相互理解の増進に加え、交流人口の拡大を通じて需要を創出し、我が国経済を活性化させるという重要な役割を担っています。このため、昨年10月には新たに観光庁が発足し、わが国全体を挙げて観光立国の実現に取り組む体制が整いました。今後は、ビジット・ジャパン・キャンペーンの充実や国際会議等の開催・誘致の推進等による国際観光の振興、滞在型観光の促進のための観光圏整備による国際競争力の高い魅力ある観光地づくりなど観光立国推進基本計画の目標達成に向けた取組を進めるとともに、訪日外国人旅行者を2020年に2,000万人とすることを目指した新たな戦略の策定を進めてまいります。
【地球環境時代に対応したくらしづくり】
地球温暖化問題については、昨年から京都議定書の約束期間が始まったところですが、我が国のCO2排出量の約2割を占める運輸部門や約3割を占める民生部門のうち住宅・建築関係を所管している国土交通省としても、削減目標の達成に向け取り組んでまいります。このため、今月中旬に我が国が主催する「交通分野における地球環境・エネルギーに関する大臣会合」の成果等も踏まえ、国際連携・協力を強化しつつ、低公害車等や省エネ鉄道車両等の普及・開発の促進、クールシッピング(海運全体の低炭素化)の推進、交通渋滞の緩和、環境負荷の少ない物流体系の構築、公共交通・自転車の利用促進などにより、環境にやさしい交通の実現を図るとともに、住宅・建築物の省エネ性能の向上、歩いて暮らせる都市・地域づくり等の低炭素型都市構造への転換、次期静止地球環境観測衛星の整備等による地球環境の監視・予測の強化などより、地球温暖化対策を進めてまいります。
また、多様な生態系を育む河川・干潟・緑地等の保全・再生を進めてまいります。
さらに、ストック型社会への転換に向け、昨年12月公布の「長期優良住宅普及促進法」に基づき、住宅の長寿命化に取り組んでまいります。
【国土交通行政の新たな展開】
国土交通行政を展開する上では、時代情勢を見据えつつ、不断に必要な見直しを行っていくという姿勢が極めて重要です。
道路特定財源の一般財源化等については、昨年12月8日の政府・与党合意に従い、現実のものとしてまいります。
社会資本の整備については、これまでに述べたような課題に対応すべく、次期社会資本整備重点計画を策定し、適正価格での契約を推進するとともに、引き続き事業評価の厳格な実施、コスト構造改善、入札・契約制度の改革などの取り組みを進めつつ、真に必要な社会資本を重点的かつ効率的に整備してまいります。また、予防保全的管理への転換による社会資本の戦略的維持管理を推進してまいります。
また、国土交通行政への国民の信頼を確かなものとするため、これまで厳しい批判を受けた行政支出の無駄については、国民の目線で徹底的な見直しを行い、無駄の根絶に向け真剣に取り組んでまいります。
さらに、地方分権改革については、これまでも積極的に進めてきたところですが、国民生活や経済活動への影響、国と地方の役割分担等に留意しつつ、しっかりと取り組んでまいります。
以上、新しい年を迎えるにあたり、国土交通省の重要課題を申し述べました。国民の皆様のご理解をいただきながら、ご期待に応えることができるよう、諸課題に全力で取り組んでまいる所存です。
■総力を結集し難局克服を
社団法人日本塗装工業会 会長 白川 隆幸
昨今の日本経済を概観しますと、原油高など原材料価格の高騰、米サブプライムローン問題の余波による金融不安、株安、円高などの影響から深刻な景気後退局面に入り、われわれ専門工事業界におきましてもさらに厳しさをます経営環境にあります。
そのような状況の中、われわれは長期方針を「公益法人としての自覚の下、社会との絆をより深め、塗装工事業のさらなる飛躍をめざし、豊かな環境づくりに貢献する」とし、さらに「重点施策」として「1.社会のニーズを的確に捉えた諸施策を推進し、希望あふれる業種としての確立を図り、その重要性を周知する」「 2.建設産業の一翼を担う誇りと情熱を持って、地球環境保全に取り組み、その役割を果たす 」「 3.『技術と経営に優れた専門工事業』をめざし、社会の信頼に応える」「4.企業の社会的責任を明確にし、その責務を果たし、健全な発展をめざす」の4項目を掲げ、諸活動を展開しております。
具体的な諸活動につきましては総務、技術、経営、安全、技能、普及の6委員会が諸活動を実行していくとともに、副会長と常任理事が北海道、東北、関東、東京・神奈川、中部、北陸、近畿、四国、中国、九州の10ブロックを各々担当し、各地域の意見を集約するとともに、本部の情報を伝達し、情報を双方向で共有化して、本部、各ブロック、各支部、各会員間の連携を強化し、諸活動を活性化しております。
建設塗装基幹技能者につきましては1900名を超えることができました。昨年、当会は登録基幹技能者運営団体への登録手続きを行い、それに伴って建設塗装基幹技能者としてこれまで認定された会員を対象とした特例講習を順次各ブロックで開催いたしております。その後会員以外の方を含めたオープン参加での新講習を3月5、6日に開催する予定にいたしております。
われわれの顧客に対する責任は、優良な塗膜を提供することにあります。その根幹は、技術・技能・品質管理を備えた施工力の確立を図り、優良な塗膜を具現化していくことであり、登録建設塗装基幹技能者の役割と重要性、またこれを有効活用していくことを再認識いたしております。
本会は直接施工できる技術・技能集団です。今年はその「技」を競い合う第22回全国建築塗装技能競技大会を10月7、8日の2日間にわたり岡山県で開催いたします。
また戸建住宅の塗り替えを日塗装で保証するペインテナンス(戸建住宅リフォームサービスシステム)は記念すべき10回目のキャンペーンを4月から実施いたします。
その他、生活環境改善のための「落書きなくし隊」や、これまで蓄積された技術・技能の活用、啓発を継続して推し進め、塗装技術研究発表会や建築塗料塗装工法セミナー等を各ブロックで開催するなど広く建設業発展の一翼を担ってまいりたいと思います。
世界的な金融危機による信用収縮の影響が実体経済に波及し、かつてない厳しい経済・経営環境に置かれ難題、不安を数多く抱えた中での新年の幕開けとなりましたが、このような状況であればなお、マイナス要因をプラスに転じる諸施策を模索していきたいと思います。
昨年会長に就任した際『行動する日塗装』をキーワードに掲げましたが、足踏みしている時間はありません。一歩一歩着実にかつ全力で前進し、会員の総力を結集し難局を乗り越え、事業活動の効率化、活性化、さらなる基盤強化を目指して邁進してまいります。
会員の皆様をはじめ関係各位のご理解と一層のご支援をお願いいたします。
■「環境対応」と「普及推進」を柱に
社団法人日本塗料工業会 会長 小林 正受
振り返りますと、昨年は史上初の100ドル/バレル超えの原油高に始まり、素材価格上昇に伴う景気の冷え込み、更には米国発のサブプライムローン問題に端を発する金融収縮による世界同時不況の進行と、今後を憂慮すべき誠に厳しい世界経済状況にあることは皆様周知のところです。昨年11月のG20緊急首脳会議(金融サミット)では、「あらゆる追加的措置をとる」と宣言されましたが、即効性は未知数の現状です。
塗料業界においても、原油・ナフサ価格の乱高下と円高の進行により、上昇した原料価格を製品に反映させることが出来ない間に景気が悪化、かえって値上げに対する理解が得られずに原料高による累損の回収もままならず、需要低迷とあわせて二重の苦しみを抱えてしまっているのが実状です。
こういった厳しい経済環境の下でも、日本塗料工業会は業界発展のために「環境対応」と「普及推進」のふたつは何としても推進してゆかねばなりません。
コーティング・ケア活動を通じて、世界的な地球環境負荷低減活動となるVOC排出抑制の目標達成に向けた取り組みを推進し、ホルムアルデヒド放散等級に関する自主管理、GHSの運用、REACHなど化学物質管理のほか、新たな法令への対応についても引き続き万全を期すことで、塗料と塗装による社会貢献をアピールして参ります。
また、ここ3年来進めてまいりました製・販・装の業界基幹3団体による普及活動は、こうした厳しい環境下であるが故に、より結束して推進していかなければなりません。そして、最終消費者層の真のニーズを捉え、ニーズに見合った製品とサービスの提供に邁進し、業界全体が一体となって新たな需要を掘り起こしていく、そうした業界活動の一助となるような普及活動を推進して参ります。
来年の2010年4月8日〜10日には、関西では初めての開催となる4年に一度の「第5回ペイントショー2010」を『感彩大博覧会』と銘打って、インテックス大阪で開催いたします。また、今年はその誘導策として(仮称)「ドリームペインティング2009」の開催も大阪で予定しております。こうしたイベントを通じて、一人でも多くの方に、塗料・塗装の役割を今まで以上にご理解いただくことは重要な活動と考えております。これをビジネスチャンスと捉え、関係各団体様ならびに塗料・塗装による最終製品に至るまでの各関係企業様にも積極的なご参加をいただけますようお願い申し上げます。
日本塗料工業会は、本年も引き続き「環境対応」と「普及推進」を柱に展開していきます。関係される皆様のご支援・ご協力がいただけますようよろしくお願いいたします。
最後になりましたが、本年の皆様方のご健勝とご発展を祈願し、新年のご挨拶とさせていただきます。
■潜在需要の喚起を
日本塗料商業組合 理事長 友野 昌幸
昨年は、アメリカ発の金融危機により世界規模の大不況に陥っており、国内産業も大きなダメージを受けております。諸外国に比べますと、その被害は小さいと言うものの、貿易立国であります我国日本も一層の経済縮小が余儀なくされるかと思われます。
一方の政治の方も、相変わらずの混乱状況であり、世相も一段と苛立ちを募らせており、痛ましい事件も多く発生しております。
長年に亘り不況をかこっている私ども販売店におきましても、今年の干支の牛「丑」の如く、忍耐強く、誠実でひたむきに、力強く一歩一歩踏みしめ、やがて来る希望に満ちた春を辛抱強く待つしか方策は無いのかもしれません。
時代は政治も経済も変革の今日を迎えております。それに対応するには、時代に即応した業態に作り上げる事が肝要であるかと思われます。それには今後とも「色彩」「塗膜形成」「商品知識」は当然の事として、それに纏わる総合的な提案力を備えた専門商社としての体質の強化が一層求められる事になると思われます。
組合中長期方針に、本年は「需要の創造に務める」と掲げておりますように、潜在化している需要を喚起させることを求めています。
既に、近畿ブロックにおいては、機能性塗料の展示会が成功裡に実施されましたが、これらの行動の積重ねにより、塗料販売業としての存在が、より明確になるものと期待しております。
昨年秋の沖縄での理事会で、この展示会を各地域に推進する事を議案として上程し、予算措置を含め承認されております。
また、同理事会に地元沖縄の組合員の皆様にも多く出席して頂き、理事会終了後には本部執行部と意見交換をさせて頂きましたが、「組合員の為の組合」として、各地域において抱える問題に対して真摯に取組む事が重要である事を痛感させられました。
環境問題に関しましても、地球温暖化防止への取り組みとして、国民運動「チームマイナス6%」が推進されておりますが、日塗商におきましてもこの運動に参加し、この啓蒙活動を行っております。
その他、EDI受発注の事例発表会の開催や自主管理事業に各組合員の皆様にご支援頂いており、心より感謝申し上げます。
新たな年を迎え、より主体的で自由な発想による幅広い事業展開に踏み出すことにより、希望に満ちた明るい業界として躍進に結び付けて頂ければと思っております。
来年4月には、大阪で第5回ペイントショーが開催されますが、是非とも明るい希望溢れる中で迎えたいものであります。
新年を迎えるにあたり、塗料業界のさらなる隆盛と皆様におかれましては、健康で穏やかな日々であります事をお祈り致します。
皆様方のご支援、ご協力を宜しくお願い申し上げ、私の年頭のご挨拶とさせて頂きます。
■社会基盤の整備を
社団法人日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会 会長 本山 蓊
本年はちょうど大日本帝国憲法発布120周年にあたり、我が国が立憲君主国家として、近代国家として発足した年より2度目の「己丑」の年として、画期的な年になります。また、フランスではこの年にエッフェル塔がフランス革命100周年のパリ万博開催にあたり建設されたのもこの年の2月であり、これも産業革命により人間社会が新しい環境に入った1つの画期的な事態を表現しているのではないでしょうか。
振り返り、昨年、平成20年(2008年)の世界や我が国の政治、経済や社会状況をみると非常に不安定に変動の激しい年で、よくも年を越したと思われる経済不安、雇用不足でした。
我が国は人口構成が高齢化、少子化時代を迎えると予測されていましたが、これは確実に実現化し、これに対して社会構造の変革や、この現象に対する対応策をたてなければならないのに、何ら有効な対策が立てられずに、構造改革のみ声高に叫ばれ一端のみが進められたところです。
前世紀の日本は、社会資本整備が先導で民間投資が活発化し、地方格差を少なくして世界第2位の経済大国を築き上げました。これが戦後復興であり、高度経済成長と共に過疎、過密の弊害を無くすというスローガンで格差の少ない社会を同時に築き上げました。
しかし、経済のグローバル化、国際分業化、中国、インド等の新興国の成長等をみて、その結果として世界経済は資源問題やアメリカのサブプライムローン問題に端を発する金融危機は世界経済に深刻な影響を与え、株価、為替の乱高下にとどまらず、景気や生産等の実体経済に波及し、主要各国の政策対応に追われています。我が国の先の国政選挙で構造改革の名目の結果、いわゆる衆参のねじれ減少に在り、政策決定に多大の悪影響があり適正適格な政策が円滑に進まないと思われます。人によっては議会制民主主義の危機と見る人もいます。
政府機構の縮小化も民営化の効率化等の重視により実施されていますが、公共サービスのためには利益重視のみでは無い事を知るべきです。民営化により、公物管理を一部投資家の利得に供する如き事は明治の官物払い下げの二の舞ではなかろうかと思われます。公物の運営は国民全体のためにするべき方式にしなければなりません。
金融危機を脱却し、経済再生をさせるためには、財政出動の良否によって定まり、その後の世界経済は筋肉質の強力なものになると言われている明るい未来があります。目前の世論のみにとらわれず進めるべきです。産学振興のための科学技術の振興、教育の充実、社会基盤の整備等で豊かな国家を創造し、安心、安全の国民生活を保護し、豊かな文化を繁栄してこそ社会福祉、豊かな社会人生が謳歌できるのです。
我々が一端を担っている橋梁塗装工事は社会資本のうち、河川、道路、港湾等々の鋼構造物、特に長大橋塗装の表面保護工として本体鋼材の老化、防食、防錆のために行うと共に、新建設構造物にも当初、塗装の技術に新しい塗料技術と供用を実行する技術の研究、開発と共に実施する業者を主体とする技術協会です。
鋼橋の腐食劣化が、アメリカ等では時に落橋事故を引き起こす原因の1つになっているのは、目新しいところでありますが、我が国に於いても、その近い状態があったこともあります。戦後に架設された鋼橋5600橋の延命、保全のために、道路整備中期計画等にも取り上げられつつあります。
公共事業は国家社会基盤整備のためにあり、しかも景気浮揚には最も効果があり、各国共に増加を図っている現在、我が国では何かと問題になります。これは亡国の兆とも言えます。社会基盤の整備なくして国の成長はありません。我々はその維持管理の一端を担っている者として、皆様のご鞭撻、ご支援をお願いいたします。
■2保証事業の利用拡大を
全国マスチック事業協同組合連合会 会長 鈴木 浩之
昨年度は皆様ご周知のとおり、アメリカに端を発する世界的な経済不況が勃発し、日本経済も大きな影響を受け、新年を迎えることとなりました。
特に、業界周辺においても、本年はより一層厳しい状況が続くものと思われます。
全国マスチック事業協同組合連合会にとっても非常に厳しい一年となると認識しております。
政治・経済両面が不安定な情勢ではありますが、私ども全国マスチック事業協同組合連合会ではこんな時代だからこそ、現在組合事業の2本柱となっている「工事完成保証事業」と「長期性能保証事業」を大きく伸ばせるチャンスだと考えています。
平成2年に建設大臣(現国土交通大臣)より定款認可を頂いた「長期性能保証事業」は19年を経た現在では、保証申込件数が3000件を超え、保証申込工事金額は140億円を超えました。また、平成19年に国土交通大臣より定款認可を頂いた「工事完成保証事業」も保証申込件数が10件を超え、保証申込金額は2億円に達する勢いであります。
これらの2つの組合事業が大きく伸びているのは、まず私達の先輩方がしっかりとした先見の目を持っておられ、責任施工体制の下で、常にお客様の立場にたって、事業を立ち上げ運用されてきたこと、そして近年お客様の「安心・安全」をより強く求められる時代のニーズにマッチしている組合事業だと考えております。
本年は更に各方面にPRをさせて頂き、より多くのお客様に私どものこの2つの事業をご利用頂けますよう取り組んでいきたいと思います。
組合員の皆様及び関係各位におかれましては格別のご指導を賜りますようお願い申し上げるとともに、本年が幸多き年でありますよう祈念申し上げて、ご挨拶といたします。
■「実業」の見直しを
東京都塗装工業協同組合 理事長 山岸 純一
世界経済が未曾有の混乱と低迷にあえいだ昨年の余波はいまだ静謐にはほど遠く、日本のみならず多くの人々が困難に直面しております。この現状は原油高やアメリカでの「サブプライムローン問題」に端を発したものではありますが、旧ソ連の崩壊と共にいわゆる共産主義経済が成り立たず、資本主義経済の独壇場になった感のある世界経済が、実はその資本主義経済も立ちゆかなくなってきた姿が現在の状況ではないかと感じられます。
経済学の専門家ではないので以下の感想が正しいものか否か心許ないところもありますが、敢えて述べさせていただきたいと思います。
「サブプライムローン」も典型的なことではないかと思いますが、いわゆる「金融商品」なるもの、あるいは「金融工学」なるものがもて囃されておりました。しかし、よくよく考えればそれらは真の意味での生産活動(汗水たらして働いた結果として、収益・利益が得られること)ではなく、単に他人のお金を右から左に動かすこと、コンピューターの前に座ってキーボードをたたくだけで莫大な収益・利益を上げていたといえるのではないかと思います。節度あるレベルで行われている間は大きな問題はなかったのでしょうが、成長のみを追求するあまり、また利益獲得の競争に邁進するあまり、机上での理論で集めた資金を動かすという、いわゆる「虚業」に陥ったのがこんにちの体たらくではないかと愚考いたします。
したがって「実業」の見直しこそ、今求められていることではないでしょうか。金融機関を初め関係各位には、「実業」の最たるものである建設業にこそ、特に底辺を支える中小・零細企業にこそしっかりと目を向けていただきたいと思います。
さらに、金融危機といわれて金融機関への公的資金の注入も当たり前のように議論されておりますが、ここで忘れてほしくないことがあります。今回の日本における金融危機はアメリカ発の余波を受けて起こっていると言うことですが、一般企業から言わせていただけば、なぜ故に金融機関だけが番たび救済されるのかと言うことです。もちろん金融資本主義といわれるくらいですから金融システムの重要性は論を待たないところですが、それだけに「貸しはがし」「貸し渋り」という言葉がマスコミを賑わすことのない様な金融機関の対応を是非見せてほしいものであります。
この1年が「実業」の世界に光が当てられる年になることを心から望んでやみません。
国内でも頻発した食品偽装問題や、官庁における不祥事の数々、日本人の精神もおかしなものになってしまいましたが、国の組織も中央から地方までガタガタになってしまったとの感が強くいたします。ここはしっかりとした立て直しをしなければ、国家100年の計を誤ることになるのではないかと危惧をするものです。少し大げさに言えば「国のカタチ」をどうするのか、このことを官民問わずに議論しなければならない時だと思います。
さて、当組合も昨年5月に設立60周年記念式典を開催することが出来ました。関係者一同にとってこの上ない大きな喜びでありましたが、次の10年、20年の組合の繁栄を考えると身の引き締まる思いであります。
昨年も当組合は各地の支部や日塗装東京支部との協力により、東京都のご指導とご理解をいただきながら、都内各地における「落書き消去キャンペーン」に積極的にかかわってまいりました。今後も息長く続けることにより、地域の治安対策と青少年の健全な育成に寄与し、「塗装組合」の知名度アップ、さらには「塗装会社」のイメージアップを図ってまいりたいと思います。
「実業」という意味では当組合が運営をしている東京都塗装高等技術専門校の活性化・活用も大事なことであります。組合員各位には充実したその内容をもっともっと理解していただき、次代を担う若手技能者の育成に役立てていただきたいものであります。組合としても、「手に職を持つ」ということの意義を積極的に広めていきたいと考えております。
現在組合には33社の賛助会員が登録されております。多くの組合員の皆さんと取引があるものと思いますが、まだまだ交流と言うことでは十分ではないところも見受けられます。今年はブロック会活動とさらに連携を図りながら賛助会員各社にも積極的なコミュニケーションを期待したいと思います。
本年が皆様にとっても前途が開けた明るい年になりますようご祈念申し上げて、新年のご挨拶といたします。
■新工法の実用化へ
大阪府塗装工業協同組合 理事長 田伏 健一
昨年5月の定時総会におきまして、引き続き理事長職を拝命いたしましたが、今日までの間、我が国の経済情勢は、まさしく目まぐるしい変化の最中であります。その変化の多くは私たち事業者にとりまして、大変厳しい変化であり、特に昨年9月以降は、世の中が全く変わったと言っても過言ではありません。
原油高騰かと思えば、金融商品の暴落、またその暴落による世界経済の悪化、米ドルどころかユーロに対しても円高という為替相場の大変動、さらにはそれらのスピードに追いつかない政策など、あまりにもひどい状況であります。
こうしたことを考えますれば、いかに実態のあるもの、さらに言えば高度なものづくりが、いかに大切かということが伺えます。また、海外需要に依存することの恐ろしさも痛感いたしました。
私たち専門工事業界にとって、最も重要なものは「技術」と「技能」であり、また、そうした優れた技こそが、どのような情勢においても普遍的価値があると常に申し上げております。また、私たち組合ではそうした技を磨くことに力点を置いた事業展開が最重要であるとも申し上げておりました。
今年度の組合事業の最も重きを置いた点は、「新しい工法の確立とその普及」と位置づけ、プロジェクトチームを結成し研究してまいりました。それは、鋼構造物への静電気を利用した吹付工法であり、「エア式静電塗装工法」として実用化に向け進めているところであります。
これは、電気設備を設置することなく、空気を利用し、作業者手元のスプレーガン内部にあるダイナモで静電気を発生させ、ガン先端から吹き出す塗料に帯電させ、その静電気の密着性を利用した塗装工法であります。米国に本社を置く世界的企業のグラコ株式会社との共同開発事業であり、橋梁などの塗装工事に活用できます。
さらに、そうした新しい技術を国土交通省のNETISへ申請する作業も同時に進めてまいりました。これからどのように市場に浸透させていくかは、多くの同業者団体や関係者のご協力、さらには国や地方公共団体との連携を図りながら幅広く活用できるようなものにしていく考えであります。
次に、私たちにとってこれから、一層大切なことは、人材であります。これも従来から人材の育成、確保を提唱してまいりましたが、少子高齢化社会にあっては、高齢者と呼ばれる層のノウハウや技を継承しながら活用していくことが求められます。そのため、今年度は厚生労働省大阪労働局から「70歳まで働ける企業創出事業」を受託し実施しております。都道府県に一つの団体しか受託できない稀少な事業を当組合が受託したことは画期的であるとも考えており、他の都道府県の受託団体は中央会や商工会議所などの大きな組織ですので、私どものような小さな団体が実施できることは、誇りであると感じております。
日本の人口が減少する時代に突入し、併せて、労働力人口が減っていく過程において、「気力」、「体力」、「知力」の充実した高齢者を工夫しながら雇用し、その経験を活かし、企業の底力を上げていくことがどんなことにも負けない企業を作り出すと確信しております。
しかしながら、建設産業は、特に私どものような現場を抱える専門工事業者では、安全配慮の観点から高齢者の働く場が限られておりますのも事実ですので、現場指導者や社員教育を司る仕事が主として就いていただくこととなります。そうした職域が制約されるという課題を明確にしていくことも本事業では重要であると考えます。いずれにしても本年度末には事業の報告を国に対し行ってまいります。
また、同じ塗装業者である近隣の協同組合との連携活動も今年度スタートさせてきました。これも共通の課題は相互に協力しながら解決の糸口を見つけ、健全な発展のため必要不可欠と判断し今後大きく連携を図っていくことで認識を深めております。
今年度は、上述に加え、他にも新しい事業を芽生えさせてまいりました。その結果、多くの新しい発見や可能性を感じております。
平成19年に組合法が大きく改正されたことは、新しい組合の有り様を求めているものと考え、今年も多くの皆様のお力添えを頂戴し、組合員企業の発展、業界の伸展に邁進してまいりますので、引き続きご指導とご支援をお願い申し上げます。
■40周年を節目に発展を
近畿外壁仕上業協同組合 理事長 岩田 伸一
サブプライムローン問題に端を発した信用収縮、景気後退、物価上昇などの悪循環が深まり、企業の縮小や破綻が相次ぎ、さらに昨年後半の世界的に急激な景気の下降により経済の牽引役である輸出と、企業の設備投資が減速し持ち直す見通しさえ立たなくなってきました。
このままでは業種を問わず裾野である我々中小企業までダメージを受け、下手をすると存在することも危ぶまれる時代がやってきたように思われます。そうなれば、ものづくりの基礎さえもこれから失われる恐れが出てくると思います。
こういうときこそ我々は国政に期待を掛けたいところですが、政治においては今更述べる言葉もないぐらい相変わらず混迷化しており、ねじれ減少のなか与野党ともに国民のため、そして国益のために有効な政策を協力して実現しようという努力と熱意が見られず、一国のリーダーたる政治家が確かな気概をもってその本分を全うすることを忘れているように見え、まさに政治が経済の足を引っ張っているようにも思われます。
いま日本経済の回復に政治の果たす役割は非常に大きく、選挙のための実現性や疑問符がつくような政策ではなく、たとえば将来にかけて民間需要を呼び起こすための公共融資等、目先の効果だけではなく中長期に日本経済を強くし、活性化に役立つような金融・財政等による総合的な経済対策・戦略に重点をおいた政治をお願いしたいところです。
さて、我々の業界におきましても、先程述べたように公共工事の縮小、確認申請の遅れや急激な景気の落ち込みによる需要の冷え込みなどにより、一段と受注競争が激化し、さらに金融危機等の影響によりデベロッパー・ゼネコンの相次ぐ破綻を招き、中小建設業者、専門工事業者の倒産、廃業等ますます厳しさを増してきたように思われます。
これまで、我々にはリフォーム市場があるとは言ってまいりましたが、国内全般に不景気の波が押し寄せて消費全体が冷え込んでいる状態であり、予断を許さない状況になってまいりました。
こうした試練の時こそ自らの力で需要を掘り起こし、我々民の知恵と活力そして今まで積み上げてきた、優れた技能技術を生かして、時代の大波を乗り越えていかねばなりません。
そして、攻めの姿勢で企業の危機を乗り切る突破力に磨きをかけるとともに活性化してゆくことが大事です。
これが良いと勝手に判断して造ったものを提供して自己満足するのではなく、消費者の目線で考え何を要望しているのかをしっかりと把握し、消費者に価格・品質全てにおいて満足し喜んでいただけるような「ものづくり」を目指してゆかねばなりません。
近畿外壁仕上業協同組合は今年創立40周年を迎えます。改めて、ここまで築き導いていただいた先人、諸先輩のご尽力ご努力には敬意と感謝の念で本当に頭の下がる思いです。
この節目を迎える年にあたり、今一度原点に立ち返り、組合の存在意義を確認し肝に銘じて、組合という団体でなければ出来得ないことを考え実行していき、コツコツとしかし大地にしっかりと根を張り、皆さまと共に業界の維持、また更なる発展のため、一生懸命努力してゆく所存です。
また、ささやかではありますが、記念事業を計画しておりますので皆さまのご協力ご支援をよろしくお願い申し上げます。
最後になりましたが、今年の干支の丑に因み「牛の歩みも千里」という諺のとおり、一生懸命努力をしていけば必ず成果が上がると信じつつ、皆さまのご発展を心より祈念申し上げ年頭のご挨拶とさせていただきます。
■ブロック会をさらに推進
大阪塗料商業協同組合 理事長 岡田 正樹
昨年後半より、私たちを取り巻く経済環境が、激変いたしました。
一昨年より取り沙汰されておりました、サププライムローンに端を発した、アメリカ金融機関の危機的状況がおこり、世界同時株安、世界的規模の「深く長い」景気後退局面に入っております。
1年や2年で収拾がつかない、先が見えないともいわれておりますが、当面の危機を乗り切れるかどうか、国内外を問わず、実効性のある対策がのぞまれます。
上場企業の本年度決算予測が出ていますが、内容については、国内、海外を問わず、原材料高、円高の影響もあり、売上げ、利益とも下方修正され、2009年度は減収減益になるのは明白のようです。
我々の塗料業界を取り巻く環境は、全産業の影響を受け、申しあげるも無く、景況感は、さらに減速傾向にあります。
我々中小企業にとりましても、多様化した市場に対応しながら、足元の収益性の維持・回復のため、企業内のさらに遭切な対応が必要だと考えます。
このような状況にあって、当組合の事業は、組合員の減少、それに伴う収入減にもかかわらず、財務的事業の見直しを図りつつ、従前に変わることなく、順調に推移しております。執行部一同皆様の、ご支援ご協力の賜物であると感謝いたしております。
平成16年度に発足いたしました、日本塗料商業組合「近畿ブロック会」は、大阪・兵庫・京都・滋賀・和歌山に加え、昨年に発足いたしました、奈良県塗料商業会の参画をいただき、「自立を基本に知恵を出し合って共通の利益の向上」を基本理念とし積極的な活動をしております。
これまで、半期毎に景況感アンケートによる近畿の販売実態調査、塗料販売店独自のカラーカード「ハウスカラーベストセレクション」の発行、店頭販売の研究会「Kプロジェクト」の立ち上げ、企業間のM&A、機能性塗料の展示会の開催および「展プロジェクト」立ち上げなど、塗料販売業に不可欠な、経営上の問題点を含め近畿全域の組合員の、共通の利益、利便性を図り、提案してまいりました。
一つ一つの提案内容を、取り上げますと、どのテーマも、長期的かつ多面的な視点をもつものであります。
まだまだ洗い出し、掘り下げる必要がありますが、皆様の積極的な参加による温かい御理解、御支援とともに、近畿ブロック会を一つのチームとした、共有化をさらに推進していくよう努力してまいりたいと考えております。
私どもにとって必ず追い風となる、関西で初めて開催の、2010年のペイントショーは、関西を考慮し、「色彩に感動する」感彩大博覧会となっております。
「製」「販」「装」3団体が加盟する日本塗料工業会の、企画、運営に期待するとともに、塗料文化として日本の美意識と連動し、地球環境にやさしい意欲のある、塗料技術開発の発表の場となり、実現でき、前進できる夢として大いに期待しております。
本年も格別のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、新年のご挨拶といたします。
■4区間の開通を予定
東日本高速道路株式会社 代表取締役会長 八木 重二郎
NEXCO東日本は、関東以北、長野、新潟から北海道までの東日本エリアの高速道路の管理運営・建設事業、サービスエリア事業および高速道路関連ビジネスを行っており、昨年10月に、会社創立3周年を迎えました。
当社が管理運営する高速道路は3、470kmに及び、一日約240万台のお客さまにご利用いただいております。いつも安全・安心・快適・便利に高速道路をご利用いただけるよう、24時間365日、細心の注意を払いつつ維持管理を行うことはもとより、ETCを利用した時間帯割引の設定など、多様なサービスを提供しています。また、首都圏の環状道路をはじめとする、地域の発展と暮らしに貢献する高速道路ネットワーク390kmの整備を進めており、昨年は、北関東道・圏央道の開通、磐越道の4車線化完成などを着実に進めてまいりました。
なかでも北関東道は、昨年末の真岡IC〜桜川筑西IC間、約15kmの開通により、東北道と常磐道が直結し、ネットワーク効果が一段と向上しました。さらに本年は、道東道、日沿道、横浜横須賀道路など4区間約46qの開通を予定しております。
一方、お客さまにご満足いただけるようサービスエリア・パーキングエリアのサービス水準の向上と多機能化、地域との連携強化に取り組む中で、お客さまの利便性を高める様々なビジネスを展開しており、昨年は、これまでにない魅力を備えた「Pasar幕張」を京葉道路幕張パーキングエリアに、またロードサイド型のホテル「E−NEXCO LODGE 佐野SA店」を東北道佐野サービスエリアに、初めてオープンさせました。
当社は、「高速道路の効果を最大限発揮させることにより、地域社会の発展と暮らしの向上を支え、日本経済全体の活性化に貢献する」ことを経営理念として掲げ、いかなる場合においてもお客さまを第一に考え、効率化を追及し、公正で透明な業務運営を行う企業であることを目指しています。事業を運営する過程においても、お客さまはもちろん、地域社会や取引先との関係を大切にしながら、「高速道路のプロ」として、質の高いサービスを提供するよう努めています。
また、昨年の10月には、従来から進めてまいりました専門子会社による維持管理業務等の内部化が完了いたしました。これによって、より一層「現場力」を高めるとともに、NEXCO東日本グループが一体となって、連結企業価値の最大化を目指し、お客さまにご満足いただける高速道路を提供していきたいと考えております。
これからも「お客さま第一」の経営方針のもと、全力をあげて、お客さまへ「ベスト・ウェイ」−「最良の選択・最高の道」−を提供してまいります。今後とも皆さまからのご理解・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
■安全・快適なサービスを提供
西日本高速道路株式会社 代表取締役会長CEO 石田 孝
金融問題を引き金に景気が後退し、休日交通の減少に加えて昨年夏あたりから実態経済への影響からか大型車交通量も減少する傾向が続いていますが、燃料価格の反落や安心実現のための緊急総合対策に基づく高速道路料金の割引施策が効き、10月以降は若干下落傾向にもブレーキが利き始めた兆しが見られるようになりました。
人口減少傾向のなかで日本経済の持続的発展の原動力は、ものづくり技術に裏付けられた組み立て加工部品や省エネ製品の輸出や、四季豊かな自然や独特の文化などの観光資源を活かした外国人観光客の誘致です。
少子高齢化が進む西日本の各地で自立した地域を形成するためには、東京一極集中の是正とともに、陸海空の連携やミッシングリンクの解消など交通インフラの整備が重要です。
弊社は、造ると決めた道路はできるだけ早く造り、地域の生活や産業発展に不可欠な高速道路網の早期整備を推進してまいります。
特に今年は、第二京阪道路、山陰自動車道斐川〜出雲ならびに佐世保道路の平成21年度内完成に向けて全力を傾注するとともに、新名神や東九州道など事業中区間も、1日でも早い開通が出来るよう事業推進に邁進する所存です。
一方、名神高速の日本初の開通区間は、45歳を超えました。現在、開通後30年以上経過の高速道路は延長比で2割ですが、その数は今後急速に増してきます。道路構造物の保全対策は、損傷を的確に把握し、最適時期に抜本的対策や延命処置を行うなどしてライフサイクルコストを低減させる、いわゆる“予防保全”に取り組むべき時代を迎えております。
NEXCO西日本グループは、少子高齢化で労働者不足が懸念される中で「100%の安全」「快適な道路サービス」をお客様に提供するため、IT機器を活用した効率的な点検技術の確立や、最適な保全計画の検討を推進する所存です。
また、弊社ではダンピング受注など不適切な契約の排除のため工事契約価格適正化制度を導入し、さらに、適正な契約を確保するために単品スライド条項の適用、工事入札不落札対策の導入など、新たな取り組みにより健全な業界発展に寄与してまいる所存です。
NEXCO西日本グループ約12、000人は、「いいことやろう西日本、社会に尽くそう西日本。高速道路で西日本。」を合言葉として、「お客様満足を高め、地域の発展に寄与し、社会に貢献する企業グループ」を目指してまいります。
今後とも皆様方のより一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。
■200年以上安全・安心・快適に利用できる橋を目指して
本州四国連絡高速道路株式会社 代表取締役社長 伊藤 周雄
皆様ご承知のとおり、公共事業費の減少傾向が続く中で、昭和の高度成長期に建設された大量の社会資本が急速に老朽化しています。昨年、6月、8月には道路橋で鋼トラス橋の斜材が腐食などにより相次いで破断に至ったことは記憶に新しいところであります。そこで今必要なことは、老朽化問題に対する国レベルでの実践的な取り組みです。
特に橋梁の分野においては、国交省に設けられた「道路橋の予防保全に向けた有識者会議」が昨年5月に早期発見・早期対策、道路ネットワークの信頼性などのために点検の制度化や診断の信頼性確保など5つの提言を行っています。
今後は、これらの社会資本の更新・大規模補修に必要な費用などを確実に確保することが急務であると思います。
社会資本の効用を充分に発揮させつつ、その更新を効率的に行うためには、予防保全の考え方に基づき、計画的に維持管理を行うことが重要です。弊社では、200年以上の長期にわたり安全・安心・快適にお客様が利用できる橋を目指し、JBグループ会社一体となって点検・補修体制の強化を図っています。
その中でも海峡部長大橋においては、膨大な量の塗り替え塗装を適期に確実に実施することが不可欠ですが、海峡部という自然条件のために施設の置かれた環境が極めて厳しいという特徴があります。この問題に対応するため、長期防錆型塗装系を採用することによりライフサイクルコストの低減を図っています。
また、塗替塗装の更なるコスト縮減には、塗装サイクルを延伸することが必要です。このためには、防錆効果に優れた塗料の開発が何にも増して期待されるところであり、一層の研究開発に精勤して頂きたい。JBグループとしても、塗装会社の協力を得て、現行塗料より優れた耐候性を有する高耐久性塗料の試験塗装を現場にて実施中です。今後とも、現場実験など積極的に協力していきたいと思っています。
さらに弊社では、国内外の長大橋の維持管理を支援するために、積極的に技術協力を行っております。最近の例では、供用後30年を経過した吊橋(長崎県の平戸大橋)に当社開発のケーブル乾燥空気送気システムを設置する業務を受託して施工しました。
また、今後、老朽化問題が深刻化し、技術協力を求められる機会が多くなることに備え、建設コンサルタントの登録を行うなど技術協力に当たる体制を強化しています。さらに、弊社の優秀な技術者を内外の現場に派遣する業務も展開していくこととしています。弊社を積極的にご活用頂ければ幸甚に存じます。
本年は、昨年の瀬戸大橋全通20周年、明石海峡大橋開通10周年に引き続き、しまなみ海道開通10周年を迎え、各地で記念行事が行われる予定です。
今後とも本四3ルートの利用促進に努めるとともに、私たちが培ってきた橋梁技術を駆使し、広く社会に貢献してまいりたいと考えております。よろしく、ご支援賜りますようお願いいたします。
■新たな住宅需要に対応を
日本建築仕上材工業会 会長 常山 洋
平成21年を迎えましたが、昨年は平成19年6月の建築基準法改正に伴う建築確認申請の厳格化に伴う、新設住宅着工数減少の影響が前半は続き、ようやく後半には回復してまいりましたが、米国のサププライムローン問題の影響を受け、不動産関連や住宅デペロッパーの大型倒産が相次ぎ、業界としても非常に厳しい状況になりました。そして米国のサププライムローンから金融不安が発生し、株価の下落が全世界に広がり、世界規模の景気後退が懸念されるようになりました。
このような状況の中、新しい年を迎えることになりましたが、我々の業界も大きな変化を求められる年であると思います。
平成19年5月30日に住宅瑕疵担保履行法が制定され、今年10月より実施、施行となります。これらは直接は売主や請負主と住宅を購入する人との問題でありますが、この保証の裏づけとして保証金を供託するか、保険加入のいずれかの対応が必要となります。
保険加入の場合、保険会社で保険適用が可能かどうかの審査があると思いますので、この点を我々建築材料メーカーとして充分に考慮した商品なり工法を提供していかなければならないと思います。これまでより品質に関しては厳しいチェックがあり高品質が求められます。また国の200年住宅の問題も具体化しており、この点についても将来に向けて対応していく商品なり工法を開発していかなければなりません。
厳しい中の新しい年のスタートとなりましたが、新たな住宅需要に対応していくスタートの年であると思います。